君のためのイジワル
君のためのイジワル

「――苦手なんです」


 君はそう言って、さらにうつむいた。
もうすぐつむじが見えそうだ。


「そうは言っても、これから困るだろう?面接では大切なことだ」

「わ、分かってます。そう言うときは割り切ればできると思います……たぶん」


 伏し目がちな目が右往左往している。


「゛たぶん゛じゃダメだよ。できるという確信が持てるようにならなくちゃ。
だから練習しようと言ってるんだよ。まだ時間はあるから、これからやっていけばできるようになるよ。苦手じゃなくなるさ」


 君の目が少し上を向くけれど、決して目は合わない。
僕の口許に目線は向けられているようだ。

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