君のためのイジワル
「とても嬉しい提案ですけど……でも……」

「――僕じゃイヤ?」

「っ、そういうわけじゃ……!」


 ぶんぶんと左右に頭を振る。
違うんですと必死に否定してくれた。


「なら、練習しよう。僕がそうしたいから言ってるんだよ。誰かに頼まれたわけじゃない。僕がやりたいんだ」

「せ、先輩が……?」

「そう」


 君は黙ってしまった。
小さい体をさらに縮ませて、考えこんでしまった。


「――あのっ……!」

「ん?」


 伏せた目と、淡い色に染まった頬で言う。


「わ、私……すぐできるようにならないと思います……すごく時間がかかってしまうかも……だから」

「うん、大丈夫」
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