☆オカマに恋した☆
駅の近くの路地裏で、優しい光を放つ一軒の店のドアを、先輩は勢いよく開けた。
入り口には、店の名前がMOMOと書かれていた。
緑が立ち並ぶテラスといい、軽やかで穏やかなボサノヴァが流れる店内は、まるでカフェのようだった。
奥行きがあり、丸みのある鏡のセット面が三面並んでいる。
「いらっしゃいませ!!」
低い声と高い声が響き渡った。
一番奥の席で楽しそうに会話をしている一人のお客と、三人の店員が目に映った。
低い声の主は、一体だれだろう?
と思っていた。
奥で接客している店員二人も、遠目からみると女性だった。
そして、受付に今来たのも、どう考えても女性に見える。
透き通るような色白で、肩まですっと伸びた髪はすごく綺麗で、斜めにしている前髪からのぞく大きな瞳には、長いまつげがびっしりつまっている。
意思の強そうな瞳が、印象的だった。