☆オカマに恋した☆
「ありがとうございました!」



 そう、可奈さんの声と共に、愛が手動のドアを開けた。





 その時、風になびく愛の綺麗な髪を見て私は、急に思い出したんだ。




昼間の、あの男の子のことを。




「今日屋上にいた?」




「うん!! フィッ、フィックションッ」



 愛は勢いよく、くしゃみをしながら返事した。



「何か今日は、くしゃみが出るんだよね」



 涙ぐむ、愛と目が合った。




 その目が、とっても可愛いと思った。





 それと同時に、何かふわっとした暖かさが自分の心に湧き上がって来るのを感じた。




「あの時私、隣で眠ってたんだよ」




「え?」



 かなり驚いた様子で、一生懸命考えているのが伝わる。



「あっ、そういえば、誰かいた」



 思い出した様子で愛は、微笑んで言った。




「起こしちゃ、可哀想かと思って、先に授業出てたんだ」



「起こしてよ〜!



目覚めたら、すんごい寒かったんだからぁ!」



 愛はグロッシーな唇を突き出し、言った。




「そろそろ行こう」



 先輩のその言葉で、私は手を振った。





 きっと先輩は、こんな時もヤキモチなんかやいたりしないんだろうな。
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