☆オカマに恋した☆
「こんな顔して、眠ってるんだね」



 頭をかきながら、目を細め照れ笑いしながら言った。




 今目の前にいる愛は、笑ってるけど、さっきまでの愛は苦しそうだった。



 その絵の中の愛は、苦しそうな表情をしてる。



 何かあったのかな?




 悩みでもあるのかな?



 それとも、何でもないのかな?




「そういえば、怖い夢でも見た?」



 思い切って、聞いてみた。




「別に…見てないよ」



 愛は曇り空を見つめて、いつもより低めの声で言った。




 その表情が、さっきまでとは違い、急に沈んだ。



 別に…の後、しばらく間があった。




 何かを言いたかったのかな。




 聞き返したいけど、触れちゃいけない気がした。




「学校だと、随分違うんだね!」



 座ったまま、さっきの間を埋めたくて、ほんの五センチくらい近づいて話かけた。



 近づきたい、近づきたい。




 体感温度は低いはずなのに、体が熱くなるのを感じながらも。




「そうかな?」



 しかし愛は、私を避けるように体を遠ざけ言った。




ほんの五センチも、無理だった…。



「そうだよ」




 私が言うと、愛の長めな前髪がちょっと被った、二重の大きな瞳と目が合った。




しかし、すぐに目線は反れていってしまった。





 寝癖の髪の毛といい、メガネをかけ、さらに男物の制服を着て、ズボンを少し引きずり歩く姿はまるで別人みたいだった。




「だって、男の子みたいだから」



 その言葉に、愛はかすかに笑みを浮かべた。



「一応ね! 男物の制服着てないといけないから。



しょうがないんだよね」


 そう言いながら、ネクタイを直していた。
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