☆オカマに恋した☆
呆然としてる私に、先輩は言った。
「あいつ、美容室にいた奴だよな」
先輩は二人のやり取りを見て、苦笑いをしていた。
「そっ、そうですね」
先輩の表情からいって、嫌な予感がした。
「そーいやぁたまに、オカマがカトゥの練習終わるの待ってるの見かけるな。
試合の時なんかさ、弁当とタオル持参してたりしてさ。
ありえねぇよな!」
わざと二人に聞こえるようにしてるのか、語尾を強めに先輩は言った。
その時私は、思い出したんだ。
確かに競技場のすみの方で、カトゥを必死に応援する男の子が目に入ったことがあった。
帽子を深くかぶって、メガネをかけていたのを、ぼんやりとだけど覚えてる。
あのころは、先輩の応援に夢中だったから、あんまり気にならなかったけど。
あの男の子、愛だったんだ。
「そういう、すごくバカにした言い方、やめてください!」
思わず、そんなことを言っていた。
先輩は、そんな私に驚いてた。
それから、一瞬にして先輩の目が険しくなった。