☆オカマに恋した☆
★出会い★
いつの間にか、眠ってた。
目を覚ますと、目の前に背中があった。
少し驚いた。
のぞき込むようにして起き上がり、顔を見ると、メガネをかけている見たことのない男の子だった。
肩のところまで伸びているストレートな髪が、キラキラ輝きながら風になびいている。
こんなに固くて冷たいコンクリートの上で眠れるなんて、よっぽど疲れてたのかな。
シャワーのように降り注ぐ日差しを背に、心地良さそうに寝息を立てている。
ポテッとした赤みのある唇が印象的だった。
私はじっと、見つめていた。
昔から興味があるものを、凝視してしまう癖がある。
スケッチブックを広げたその時、
「遥ぁ、またこんな所にいた!
次、化学の時間だから移動だよ」
呆れたように、唯(ゆい)は言った。
そう、この学校で唯一友達と呼べる子なんだ。
唯は学校をよくサボる。
しかし、進路に関わるような授業や、怖い先生の授業にはきちんと出席していた。
唯はダイエット中で、ちょっと不健康だった。
日に日に細くなっていく体のラインは美しいというより、どこか痛々しく感じた。
唯の小さめの目には、いつもしっかりとアイラインが引かれている。
髪の長さは胸まであり、風にふんわりと揺れている。
「あっ、今日学校来てたんだぁ?
知らなかった」
ぼんやりとしながら言った。
「メールしたじゃん、もうっ!
とにかく急いで」
せかしながら、唯は言った。
ちゃんと、化学の教科書やノートを私のぶんまで持ってきてくれていた。
スケッチブックを閉じ、唯の後を追いながらも私は振り返った。
隣にいた彼は、まだ眠ったままだった。
「ねぇ、あの人と友達なの?」
唯は少し不思議そうに言った。
「全〜然、ただ気づいたら隣にいた〜」
あくびをしながら、私は言った。
「そっかぁ。
何か、遥が男の子といるなんて珍しいな、って思ったから」
唯は小走りに、階段を駆け降りながら言った。