☆オカマに恋した☆





 いつものように、街灯に照らし出された、うっすらと明るい住宅地を通り抜け、にぎやかな駅前へと向かった。





 話の内容はいつも通り、部活の練習内容や、先生や生徒達の噂話、テレビなどだった。





 しばらく歩いて、重たそうなスポーツバッグを軽々と持ち替え、先輩が言った、



「なかなか出かけられなくて、わりぃ!



部活のせいで」




「そんなことないですよ。



走る先輩見てるの好きだし」



 ちょっと前までは、本当にそう思ってたんだけどな。




 微笑んだつもりだったけど、うまく笑えていたかもわからない。




「今度さ!



ディズニーランドとか、遊園地とか水族館行かない?」



 先輩が突然、そんなことを言い出した。




それがいつもと、違うことだった。




私がいつもと違うことに、気づいたのかな。




「いいですね!」



 そう返事したけど、そんなの行く暇ない気がする。




いつも休日だって部活だから。




この三カ月で、一度だけ近くの映画館へ行ったくらいだ。





 しかも、久々に一緒に帰っているのにも関わらず、突然なかなか切りに行けない髪の毛を切りたい。と言い始めた。




確かにだいぶ伸びきっていた。




そして、先輩のいきつけの美容室へ行くことになった。



先輩はかなりマイペースな人なんだ。
< 9 / 246 >

この作品をシェア

pagetop