☆オカマに恋した☆
いつものように、街灯に照らし出された、うっすらと明るい住宅地を通り抜け、にぎやかな駅前へと向かった。
話の内容はいつも通り、部活の練習内容や、先生や生徒達の噂話、テレビなどだった。
しばらく歩いて、重たそうなスポーツバッグを軽々と持ち替え、先輩が言った、
「なかなか出かけられなくて、わりぃ!
部活のせいで」
「そんなことないですよ。
走る先輩見てるの好きだし」
ちょっと前までは、本当にそう思ってたんだけどな。
微笑んだつもりだったけど、うまく笑えていたかもわからない。
「今度さ!
ディズニーランドとか、遊園地とか水族館行かない?」
先輩が突然、そんなことを言い出した。
それがいつもと、違うことだった。
私がいつもと違うことに、気づいたのかな。
「いいですね!」
そう返事したけど、そんなの行く暇ない気がする。
いつも休日だって部活だから。
この三カ月で、一度だけ近くの映画館へ行ったくらいだ。
しかも、久々に一緒に帰っているのにも関わらず、突然なかなか切りに行けない髪の毛を切りたい。と言い始めた。
確かにだいぶ伸びきっていた。
そして、先輩のいきつけの美容室へ行くことになった。
先輩はかなりマイペースな人なんだ。