voice=kiss


「~♪」

大きなヘッドフォンを耳につけて校門をくぐる。
ここをくぐるのは入学式を抜くと初めて。

まだなれないレンガ造りのおしゃれな校門。
おきまりの桜は残念ながら、すべて散っているが。
それもまた、味わいがあると言うか?

どこにでもありそうな灰色のブレザーに紺のチェックのスカートの制服。
リボンは1年生ということで赤だ。
みんな、まだ肌寒い春ということもあって、様々なセーターをブレザーの中に羽織っている。
黒とかベージュとか・・・。
その中から私は白を選んだ。
白は中学時代でも着る人が少なかったようが、高校でもそうらしい。
私以外に白はまだ一人も見かけていない。

まぁ、そういう「少数派」なところに惚れてこの色をきているけれど。

さきほどから、見るみんなの髪型は染めてる人もちらほらいるが、ほとんどが地毛をおだんごにしてアレンジしたり、ロングの毛先をカールさせたりしている。

私はというと・・・
金に近い髪の色がかなり浮いているが、ストレートの髪をそのまま垂らしている。
髪の色は、一目ぼれして思わず染めてしまった。
このなんとも言えない、茶色と金の間の色の中途半端さにまんまとやられた。
なので、今は縛ったりせずにこの髪の色を堪能していたい。
肩までのショートで前髪は上げている。
切るのは面倒だしこれが丁度いい。

その前髪の下にある顔はというと・・・。
どちらかというと美人なのだろうか?
よく日本人離れしていると言われるけれど、実際自分では綺麗なのかはわからない。
普通だと思う。

身長も体重も平均かそれより低いかだし、特に目立つ所もない・・・。



















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