恋の空模様
「もうだいぶ慣れてきたよ。」
私は名簿に目を落とした。
そっか・・・しゅんって言うんだ。難しい漢字だから読めなかったけど、今分かった。向野惷・・・。
「ここにもう1人男の子いるでしょ?せなちゃんの前の子。その子と同じ学校だったんだ。」
「そうなんだ・・・えっと烈袈(れつか)くんだよね。」
「そう。烈は仲のいい人としか話さないんだって。私もそんなに仲良くないし・・・」
「そっか・・・えっじゃあなんで向野くんのこと・・・」
「俺らは親同士が仲いいんだ。」
一息先に、向野くんが答えた。
「そうなんだ・・・」
「くん付けしなくていいよ。俺も慣れてないし。」
「えっでもまだ・・・」
「いいよ別に。上がアレだったら下で呼んで。」
「うん・・・ありがとう。」
「惷は昔から呼び捨てだもんねっ!!なんか、くんなんて付けられてたら笑っちゃう。」
「うるせぇよ。勝手に笑っとけ。」
「あははっ!!」
惷は、ため息まじりに笑っていた。
「あっそうそう!私は海って言うんだ!!海でいいよ!!」
「私もっ千愛って呼んで?」
「うん!!よろしくね!!」

それからは海のおかげで楽しく会話が続いた。途中からさっきの女の子も会話に入って来てくれて、班の皆と打ち解けることが出来た。烈っていう男の子はあんまり話さなくてまだ距離があるけど、海の言うとおりいつかは話してくれると思う。入学初日で、こんなに友達が出来るなんて思ってなかったからすごく嬉しかったし、安心した。

 これから、私の新しい春が始まる。

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