恋花




「…イチゴちゃんはその‘風太’ってのヤツの事が好きなの?」


「はい、好きです。…目を離せないです」



当たり前、絶対に離れたくないもん




「じゃあその‘風太’が大好きなの?」



「はい、ずっと一緒にいたいですもん、離れたくないです」



そんな事を聞いてどうするの?

それに、さっきの悲しい表情はどことなく嬉しそうな顔になっているのは気のせい?
その表情まで風太にそっくりで



「それで…、その愛しの‘風太’は俺に似てるんだ?」



「はい、コロコロしてるところがそっくり。

風太の事を考えると私ヤキモチだらけで…」



「そんなにその犬が大事なんだ…」



あれ…私、



「犬なんて言いました?」



「ねぇ、イチゴちゃんさ…俺の事どう思ってんの?」



どう思ってる?

そんなの決まってる



「チャラくて他の人に愛嬌ふりまいて、でもコロコロ変わる表情が可愛くて目が離せなくなって…いつもヤキモチを妬かされる…って」



私なに言ってんの!?

これは風太への考えでしょ?



「先輩、違うんです、間違えました、ほんとなんで、だから」



「近寄らないで」そう言いたいのに…言えないのは



「俺の事、好きなんだ?…大好きなんだ?…」



「言わないで…ください…」



うそ、うそ、うそ、うそ

そんなはずないのに




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