恋花

4:気付いた気持ち





「…先輩、もういいです」



「でも、本当ごめん」




先輩はビンタされた頬を濡らしたハンカチで冷やしてくれて
口もとの傷は先輩の赤い舌で消毒された

でも分からないのは‘本当にごめん’って言ってるくせに本当に悪いと思ってるのか、って事


だってさっきから一向にキスが止まらない



「…私、もう大丈夫です、帰りたいです」



「まだだめ」



「意地悪…」



キスが嫌なんじゃない、ただ恥ずかしいだけ。

さっきあんな告白をして今はこんなにキスをされて


嫌いだとおもってたら、その逆で好きだったなんて信じられる?

アヤに会いたいよう
会って話を聞いてほしい…



「……今他の事考えた?」


「えっ?」


「俺以外の人の事考えたでしょ?」



そう寂しそうに私を見る先輩、多分分かってやってる



「あっ私、帰って風太の散歩に行かなくちゃ!」



なんて誤魔化してみても先輩は私から目を離さない

…早くこの状況をどうにかしなくちゃ、私がどうにかなっちゃう





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