Genius~守り人~
「言われて見れば、確かに1人ではこの様な事は無理なのでは?」

「いくら何でも、風火來奈を一人で行かせる訳ではないでしょう。」

向かい合って座っている年配の隊長が話始める。

「風火來奈は一人で行かせる。」

不意に御簾の向こうから声がした。

「えぇ!?」

「帝!本気でおっしゃっているのですか?」

隊長達の仰天の声が上がる。

「本気だが…」

あまりの驚き様に帝はたじろぎつつ言葉を返す。

「お言葉ですが、危険です!!
彼女にはどれか隊を付けるべきです。」

「そうです。その方がよろしいです。」

慌てる様にして数人が口を揃える。

「…そんなに慌てなくても良い。
風火の場合、彼女が哀哭溜に向けて攻撃しないかぎり、やられはしない。それに、彼女一人の方が逆に怪しまれない。」

「ですが、しかし…」

隊長の一人が言いかけた時、

「『風火來奈は哀哭溜の一員』だから、ですよね。」

細田が口を開いた。

「失礼ながら、先日話している所をお聞きしました。
風火一人では危険と言うこともありますが、彼女が我々を裏切るという心配は無いのですか?」

場の空気が一瞬にして静まり返る。

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