Genius~守り人~
「用件は?」

暗い廊下を進みながら少し前を歩く列火に尋ねる。

「行けば分かる。」

短く答えが返される。


來は暗闇の中で斜め上を見上げる。

視線の先には鉄仮面の異名を持つ男。

26で御前の側近の地位についた実力の持ち主。

そんな男の表情はどんな時も殆ど崩れる事はない。

術の使い方を教わっていた來もそんな彼のことは知っている。


頭脳明晰


冷酷非情


時折見せる笑みは見る者の背筋を凍らせる妖しい笑顔。




しかし列火にも過去に一度だけ

彼の故郷を焼き討ちにした時のこと。

燃え盛る炎を見つめる彼の瞳は悲しみを湛えていた。




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