Genius~守り人~
自室に戻った來は自分のベットに寝転がっていた。

蝋燭を付けても尚暗い天井を見上げ目を閉じる。


來は御前の言葉が気になっていた。

『思い違いであって欲しい…來だけは…』


― …どういう意味だ…?



意味は分からないがどこか引っかかる御前の言葉。





― …記憶の無い頃の私に関係あるのか?



彼女には哀哭溜に入るきっかけとなった襲撃前の記憶はな殆ど無い。


あるのは自分の目の前で死んでいく人達と、自分のせいで死んでしまったという想いだけ。







コンッ コンッ


「來、入るわよ。」

そう声がして扉が開く。

「どうしたの?」

暗い顔をしていた來を見て草火は首を傾げる。

「いえ、特に何も。」

ムックリと起き上がり來は答える。

「いいえ、何も無いこと無いわよ。
いつも気配を消して歩くあなたがそれをしていないなんて、何かあったとしか思えないわ。」


「そうですか…考え事しただけでそうなるとは……私もまだまだですね…」


「御前に何か言われたの?」


「いえ…そうでは無く…」


「だったらどうしたの?」

來の隣に座り彼女の顔を覗き込む。
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