Genius~守り人~
『―姉…』
呼んでもただ前を向いて走る。
…でも…
ドォンッ
銃弾が姉を貫く。
…何…?
一瞬何が起こったのか分からなかった。
『―姉?』
ゆっくりとその場に崩れ落ちる。
私は仰向けで倒れた姉の側に座り込んだ。
『―姉…?』
呼び掛けると僅かに瞼が開き私を捉える。
遠くから近づいて来る足音が聞こえる。
逃げないと、でも
そんな事今どうだっていい
に げ て …
微かに唇が動く
『…イヤだ…』
再び涙が溢れる。
その涙を拭う震える手
は や く に げ て
『…でも…』
ら い ―
伸ばされた手から力が抜け落ちた。
『―姉!!』
私は声を上げて泣いた。
姉にすがりついて。
自分の声が遠くなっていった