Genius~守り人~
しばらく歩いた來奈は街の一角にある建物に入った。


「よぉ!來奈、いつもより遅いじゃないか。」

ドアを開けると、ソファーに座る青年が声をかける。

青年は額に掛かる紺色の髪を掻き上げ、ニカッと笑う。

「内裏に呼ばれてたんだ。
その後、裕と話してたからな。
…氷、アイツどこ行ったんだ?」

來奈はソファーの側にある椅子に腰掛ける。

「奥の部屋でなんか造ってるみたいだ。」

氷は奥の部屋へ通じる扉を指差す。

「そうか…」

そう呟き、氷の指差す方へ目を向ける。

ガチャッ

その時、その扉が開き一人の青年が現れた。

「あれ?來奈、もう来てたんだ。
さっき裕と話してるの見たからまだ遅くなるかと思ってたよ。」

氷より長めで黒の勝ったグレーの髪をした青年は、少し驚いた顔をした後、ニッコリと笑って見せる。

「なんだ、護も内裏に来てたのか。」

「まあね。内裏から造るように言われてる物も沢山あるしね。」

護は得意そうに笑う。

彼はいろいろな物を造る(発明する)、“造の術”を持っている。

今、來奈達がいる家も殺風景だが一応、彼の店だ。
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