Genius~守り人~



数十分後來奈達は内裏の清涼殿にいた。

板間の大広間の真ん中に立ち、一段高くなった上に置かれた半畳程の畳に座る主を待っていた。


左方を背にして正座で座る護と秋穂


いつの間にか来ていた氷は胡座をかきだるそうに壁に背を預けていた。




スッ





小さな音を立てて広間の奥にある襖が開いた。


護が來奈に目配せをして頭を下げる。


來奈はいつも御前にしていたように片膝をつき左胸に右手を当て頭を下げた。







「頭を上げなさい。」


聞こえてきた優しい男性の声


上げた視線の先には浅葱の狩衣を纏った長髪のヒト


優しい笑みを浮かべこちらを見ている。






つい最近まで憎しみの矛先にいた人物


今『來』であれば間違いなく首をとっているだろう。










帝は話で聞いているよりも幾分若く、御前が言っていたような政治を行って居たようには思えなかった。



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