Genius~守り人~
ガササッッ

後ろの茂みから音がしたかと思うと、

「やっと見つけたー!」

氷が飛び出し、隼人と弥那の首に片腕づつをまわし、2人を捕まえる。

「ひょっ…氷ちゃん!!?」

「氷!?なんでここが…!!!?」

2人が驚きの声をあげる。

「隼人、お前のマフラーについているのはなんだ?」

氷はニヤリと笑い隼人に尋ねる。

「マフラー?」

隼人は自分の首に巻いた長いマフラーの端を手探りでたどっていく。

するとそこにはたくさんの結び目に混じって、滴形の小さな装置が青い光を点滅させていた。

「…発信機……?」

「…いつのまに……」

「念のためにつけておいて正解だった。」

呆気にとられている2人を見ながら、ふんっと鼻を鳴らしてみせる。

「…氷ちゃん…ちょっと苦しいよ…」

「おっ…すまん、すまん。

さて、帰るとするか。」

苦しそうにもがきながら弥那が言うと、氷は2人を腕から解放する。

そして代わりに2人の腕をつかんで反対方向へ歩き始めた。

「?」

ジタバタしていた2人が急におとなしくなり、氷は不思議に思い自分の手を見てみる。

すると自分の手に握られていたのは、2人の腕ではなく腕の形をした2つの棒

それは数秒後、小さな煙をたてて2枚の呪符に戻った。

「…いい加減にしてくれよ!!!」

氷はそう叫び、トンネルに向かって走っていく隼人と弥那を追い掛けていった。
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