Genius~守り人~
「弥那、ありがとう。

たぶん傷の方はこれで大丈夫そうだ。

じきに目を覚ますだろうな。

氷、念の為に病院に連れてった方が良いかもな。」

額の汗を拭い安堵の表情をみせる。

「で、お前ら何でここに来た?」

壁に背を預け、鋭い目を2人に向ける。

「ごめん…來奈…

氷ちゃん止めてくれたんだけど、私が無理にここまで来ちゃったの…

…こんな事になるなんて…

本当にごめん…」

弥那は氷を見た後、うつむいた。

その様子を見て來奈はふぅ、と息をつく。

「…まぁいい…

2人は怪我してないみたいだし…

…オレ…本当は迷ってた……自分で決めてた事なのにな……

でもお前らが来てくれたおかげで、必ず実行しないとって思うことが出来た…」

そう言うと、來奈は穏やかな表情から真剣な表情へと変える。

「氷、弥那、2人は直ぐに逃げろ。

もうすぐ空間が開かれる。」

「だったら、來奈も一緒に逃げよ?

ここに残ったら殺されちゃう。」

立ち上がった來奈の袖を掴み、必死になって彼女に訴える。


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