ねぇ、笑って
あれから1週間とちょっとの日曜日。


私は今、もの凄く緊張している。


「何やってんの。ほら、入るよ」


真実が促した先はカラオケ店。


別段入るのに勇気のいる場所ではない。


それでも愛にはまるで未知の世界への入り口のよう。


「こんなことに付き合わせてごめんね、真実。真実は彼氏いるのに」


「いいよ。シュウは物わかりいいから」


いやでも。


彼女が合コン行って喜ぶ男の人はいないと思うよ。



―――そう。


2人は今日合コンに来たのだった。


愛が瞬への思いとそれを忘れたいことを真実に告げた結果だ。


詳しいことを詮索してくることもなく、修斗にバレたらマズい筈の合コンをセッティングしてくれ、気を遣わせないようにと明るく笑う真実。


どこまでも優しくあるこの友人への想いで喉の奥から熱いモノがせり上がってくるのを留めるのが大変だった。
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