キミ色ヘブン
『“今日は”って何だそれ。結局は――』黒ブチ眼鏡の先生もこのヤンキー校の先生なわけだから、そんな事じゃ全然怯まなくて。

金色はさらに大きな声をあげる。

「うるせぇ。だーかーらぁ!俺はただの遅刻だ。サボって煙草吸ってたわけじゃねぇ!」

金色の髪がこれでもかってほど逆立って見えた。まるで獅子。校舎を見上げて笑った彼とは思えなかったけど。

それでも私の脳裏にはさっきの愛しそうに見上げた彼の眼差しが蘇ってきて。

あの眼差しを消さないで欲しい、と咄嗟にそう思った。

別に私が将来教職を目指しているとか、若者の未来は輝いているとかそんな事を日々思っている訳でも考えている訳でもなかったけど。むしろそんな気持ちは微塵もなかったのだけれど。

あえて言うのであれば……

誰かの輝いてる瞳が目の前で消されてしまうという事に抵抗があっただけ。自分の中に僅かに残る灯火を消されるようで胸が痛むから。
< 105 / 215 >

この作品をシェア

pagetop