キミ色ヘブン
「もしもし?」

『……もしもし?白川さん?』

そりゃ、私だろ。私の家電にかけてきたんだからさ。

「うん、私」

言いたい事なら早く言っちゃってよ。もう私、奈落の底のモグラなんだから、一気にとどめ刺しちゃってよ。

いつもなら気にならない『ジジジ……』という小さな電子音が耳に痛い。

『ちょっと話があるんだ。渡したいものもある』

……萌木とか言うんじゃないでしょうね?ジリジリと真綿で首を絞められていく自分を想像して鳥肌がたった。

「う、うん」

『明日……午後2時、美術室で会える?』

だいぶオカルト入って来たと思う。それにつられて投げやりだった気持ちもちょっとずつ冷静になっていく。

もしかして人気もない校内で――

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