キミ色ヘブン
午後の2時って『1日のうちで一番気温が上がる時間帯だ』って小学校で習った気がする。

ジリジリと照りつける太陽、風さえも吹いていない今日みたいな日は、じっとりとした空気が体を撫で回すようにまとわりくつ。

「なぜに、こんな暑い時間帯に。午前中でもいいじゃんか」

文句タラタラ口にしながら歩く。

やっと視界に入ってきた学校。正門は夏休みだからしっかり閉まっていて、その横の小さな鉄の門を半そでや上半身裸の生徒達が行き来している。

そっか。夏休みって言っても、スポ特なんかは夏休みなんてないぐらいなんだっけ。今さらそんな事に気がついた。

ザパンッ、ザパンッ、と水泳部がピッという笛の音に合わせて水に飛び込む音、ザッザッとランニングをする野球部の音。

殺されるわけもないほどに爽やかな空気に包まれている学校は、炭酸水をあびたようにちょっとだけ白く光っていた。

ずっとモグラを決め込んでいた私には眩しすぎる久しぶりの学校の姿だった。
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