キミ色ヘブン
ああ、奈落の底にいると思ってたけど、私まだ『底』にいた訳ではなかったらしい。

その証拠に今、私はさらに落ちていっている。さっきまでは『奈落の上げ底』ぐらいにいたのかもしれないな、なんて思っていた。

「いつもヘラヘラしてるし。いい人ぶってあんな酷い事するし」

『あんな酷い事』をした私。

それでも、こうして責められる事で少し救われているって三上さんは分かっているんだろうか?それを分かってやっているとしたら、三上さんお人好し。

「大ッ嫌い!」

三上さんは両手で私の両肩ら辺をドンッと押した。こんな三上さんを見たことは今までなかった。きっと学校の誰もが、ひっそりと生きている彼女がこんな激しさを胸に秘めているって知らないと思う。

丁度私の後ろに飾ってあったモチーフのガラスの花瓶がその衝撃で床に落ち、ガシャンと音を立ててキラキラと破片が飛び散った。
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