キミ色ヘブン
脱力したまま辿り着いた第二美術室で

「で、この絵は結局どこにあったわけ?」

と中山君が指さすのは島先生が捨てたハズのあの私の油絵。

「……そこ」

私が指さしたのは島先生の油絵用の額置き場。額は傷つかないようにひとつひとつ段ボールの箱に仕舞われ、掃除用具入れの横のスチール棚にズラリと並んでいる。

その中の1つに私の絵が額装されて入っていた。“白川幸、全国学生油絵コンクール・佳作”と律儀にメモまで付けて。

この絵が発見されたのはつい3日前。

あの日、島先生は出来上がった私の2枚目の自画像を額に入れて、美術室に飾ると言いだしたんだ。

なぜなら来年度の入学希望者の学校見学会が来週にあるそうで、校長先生から『活動内容が分かるように。教室も綺麗にするように』とのお達しがあったそうだ。

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