キミ色ヘブン
第二美術室に戻ると、まだ『お兄さん!』と繰り返す中山君がいて。

「お前、面倒くせぇなぁ、おい。付き合ってらんねぇよ」

と島先生はすごすごと準備室に逃げて行った。

「さ、座って、座って」

まだ何かしら言いたそうな中山君をセットした木製の椅子に無理矢理座らせる。

絵の具やら油やらを用意している間に、次第に中山君もいつもの彼に戻っていく。

「白川さん、三上さんに謝れたの?」

絵の具を次々にパレットに出しながら、頷いた。

「良かったね。……ねぇ、ホントに僕がモデルでいいの?」

「うん。中山君を描きたいんだもん」

「じゃ……格好良く描いてね」

「……どうやって?」

「……ひどい。あ、明日福山雅治の雑誌の切り抜きでも持って来ようか?」

「…………」

窓の外はいつの間にか赤く色づき始めていて、飛行機雲が消えかけている。

日が暮れるのがめっきり早くなったと思う今日この頃。
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