キミ色ヘブン
「白川さん、海行かない?」

ケータイから聞えたその一言に心の中で『よしッ』とガッツポーズをした。


お気に入りの淡いラベンダー色のワンピースを着て。でも海だからちょっとカジュアルに薄手の真っ白なパーカーを羽織ってみた。

うん、たぶん似合ってる。鏡に映った私のちょっと子どもっぽい顔に、雑誌の特集ぺージを参考にして今どきの化粧を施す。

そして出来上がった私。ちょっと鏡に微笑んでみた。

そんなに美人じゃないけど、そんなに可愛くもないけど、でもそれなりな私がいる。

中山君には似合うぐらいの私。

これでよし。麻で編んだバッグを掴むと部屋を出る。

玄関で昨日買った真っ白なサンダルに足を通してドアを開けると

「おはよ」

真っ赤なパーカーにダメージジーンズの中山君がいた。
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