キミ色ヘブン
「どこ行ったのかと思った。防波堤見たら居ないから」

ちょっと心配しちゃった、と残りのサイダー全部飲み終えた中山君はそう言った。

「ごめん」

って何で私が謝ってんだろう。サイダー取られたのは私なのに。放置プレイされてるのはこっちなのに。


「白川さんに帽子持っておいでって言うの忘れちゃったね」

何となく歩き出した中山君の広くてガッチリした背中を追う。

って言うか『派手な友達も一緒だよ』とか『デカイ音するバイクで行くよ』とか『キミを皆に紹介する気はないよ』とか

先に言っておいて欲しいことってもっと他にあったんだけどな。そうしたら私だって心の準備ができたのに。

文句一杯胸に抱えてるのに

「寂しくない?」

なんて優しい声と細い目さらに細めて振り返るから思わず首を横に振ってしまった。

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