キミ色ヘブン
「ちょっとは海入らない?冷たくて気持ちいいし、寂しくないよ?」

「いいよ。ここで見てる」

寂しいなんて言ってないのに。あの中には入って行けないよ。だって違い過ぎる。

「けどさぁ──」

「ここで見てるから!」

中山君の言葉を無理やり遮った私。我ながら可愛くない。こんなハズじゃなかったのに。

上手くいかない。

ホントなら『可愛いな~』って、『大切にしたい』って思わせる予定だったのに……。


少しの沈黙の後、再び防波堤に座り込んだ私の横に大きな影が出来る。

「ふわぁ~。じゃ、僕もここにいる」

ため息つくぐらいなら皆の所に戻ればいいのに。

その方が私だって気が楽なのに。

「中山君はまた遊んでおいでよ」

「ん。でもなんか眠くなってきたから。寝てもいい?あぁ~……」

「…………」

ため息じゃなくてあくびでしたか。

すんごいマイペース。

んぶ~って今度はあくびかみ殺して鼻の穴全開じゃん。
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