キミ色ヘブン
午後になると海風が強くなって、私の髪は自然のなすがままに踊り狂い、それを抑えるのに必死。

海岸沿いを並んで歩く、なんて本日で一番恋人っぽいシチュエーションなのに、潮を含んだ髪が顔をバシバシしばく。

雰囲気台無し。チャンスぶち壊し。全然可愛く見えないじゃん。

やっぱ髪、まとめたままにしとけば良かったなぁ、と後悔した時だった。

「メドゥーサみたいだね」

「…………」

何ですと?

立ち止まって見上げた先をマジマジと見つめてしまう。

「メドゥーサって髪が蛇なんだよね?」

「…………」

どうも何かがおかしい。どうもカップルの会話とは違う気がする。

でも中山君は気にしない。
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