君と一緒に(短)





机の隅に追いやられたカレンダー。ピンクのペンで印がしてある日まで後2日。

毎年楽しみにしている花火大会が近づいていた。


その中でも今年は特別。
2ヵ月前から、ずっとこの日が来るのを待っていた。


『これ、由宇に似合うと思うなぁ』

『……大人っぽくない?』

『絶対に似合う!』

『そうかなぁ』


落ち着いた紺色の生地に咲く大輪の朝顔。真っ赤な帯、金色の飾り紐。

脩ちゃんが、一生懸命バイトして貯めていたお金で買ってくれた新品の浴衣。

あたしの宝物。


『今年はこれ着て行こうね』


そう言って向けてくれた、あたしの大好きな笑顔。


……手放したくないよ。





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