恋、涙 …【2】〜私とあなたと小さな天使〜



私がそう言うと、かーくんは茉央の頭を撫でていた手を止めた。



「……あの頃の俺は、もういないよ。それに、あんな風には絶対戻りたくない。」



「…うん。」



わかってるよ。



私だって、あの頃のかーくんを見てると辛かった─



「まぁ…戻らないけど。だって、今の俺には、大切な家族がいるから。」






『希は俺の光だ』






だいぶ昔だけど…



かーくんの元カノ…葉月さんの事件があった後、入院していたかーくんをお見舞いに行った時、そんな風に言われたんだ。



『…助けてくれてありがとう。それはな、希。俺が言うセリフだよ。俺を闇の中から救ってくれたのは、お前だから…』



そう言って、当時数えるくらいしか見たことのない笑顔を見せ、私の頭を撫でてくれたことを覚えてる。



私でも…
誰かの役に立てた。



しかも、初めて出来た、大好きな人の役に…



それが嬉しかった。












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