恋、涙 …【2】〜私とあなたと小さな天使〜
「希……ニヤけてるぞ。」
昔を思い出していた私に、笑いながら言うかーくん。
「今度は何を思い出してんのかな〜?」
かーくんは、茉央を起こさないように、茉央の頭の下にあった腕を慎重に引き抜くと、私の目を真っ直ぐに見つめた。
「ひっ…秘密っ!//」
そんなの言えないよ…
恥ずかしい。
私は恐らく真っ赤になっているであろう顔を隠す為、かーくんに背を向けた。
「ふ〜ん。秘密、かぁ…」
少し間があいて、かーくんはいつもとは明らかに違う口調でそう言った。
そして……
「……っ!!」
「秘密にされると、余計に気になるんだけどなぁ………篠原。」
突然背後から抱きしめられて、耳元で囁かれた名前。
それは─
私の…旧姓だった。