恋、涙 …【2】〜私とあなたと小さな天使〜
そう言うと、俺は茉央を抱き上げて、自分の胡座の上に座らせた。
「ぱぱ〜?」
多分これから先、茉央は我慢することが多くなると思うんだ。
妹…が生まれることで、希はどうしてもそっちの方が優先的になるだろうし。
俺は俺で、仕事で帰りが遅くなったりして、ろくに遊んでやれないこともあると思う。
休みなんて…
あんまりないしな。
だから…せめて今。
思いっきり甘えて欲しい。
「…茉央。お兄ちゃんになれば、妹にママ取られちゃうかもよ?」
「や〜…」
素直になれない性格。
それは多分俺から受け継いだ物。
自分に似てる茉央を見てると、まるで俺自身を見てるようで、変な感覚がある。
「ほら、茉央。今ならママは茉央のだから…行っておいで。」
そう耳打ちしてやると、茉央はしばらくじっと、希の方を見ていた。
「茉央…?」
「まま…っ!」
そして、希が茉央の名前を呼んだのが合図になって、茉央は俺から離れ、希に抱きついた。