BELLADONNA -沈静の劇薬-
沢山の民に見送られた亡き人の葬儀は夕方にも及んだ。城にはポツリ、ポツリと使用人や大臣たちが元の配置につこうと戻ってきたのだ。
執務室のドアにノックの音が聞こえ、中から声をかける前に扉が開いた。
ジーノはある程度、誰が来るのか予感していたので、これぐらいの無礼を許した。
「ジーノ様…どこに…」
『エルドから、もう話は聞いた。何度も言わせるな。』
執務室の奥には高級家具たちが。中でも、こだわり抜いた漆黒の皮がはられている一人掛けソファは、先代の仕事スペースに用いられていた。
ソファを反転させ、窓の外を見下ろした。
今、見えている全てが我が国の領土なのだ