八月の指定席【花火・短編】
「キレイ!ベランダで見よーよ!ねっ」

突然マコがそんなことを言い出した。

…やめてくれよ。

オレがフられた日の話、知ってるくせに。




マコは、酔ってフザけているメンバー全員と、

ベランダに出てしまった。

オレは、誘われない。

当然だ。

マコが、誘えるワケないよな。




ベランダに出たくないって思っていたくせに、

誘ってもらえないと、寂しくなった。





ベランダの手すりにもたれ、四人で楽しそうに花火を眺めている。

何だよ、マコ。

オレの味方じゃなかったのかよ。





そうだよな、しょせん

花火の見える、高層マンション。

ここは、タダで使える…特等席。






何だか、ヨケーむなしくなった。






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