八月の指定席【花火・短編】
臆病で、気弱なオレ。

それでも、その日は何だか言えそうな気がした。

だから、かなりドキドキしてベランダに出た。






花火を見ながら、彼女の口から出たのは……、

『別れてほしい』

っていう、言葉だった。




想像もしていなかっただけに、ショックはかなり大きい。

自分の心臓のドキドキなのか、

目の前の花火の音の振動なのかも、

それさえも、わからなかった。





ただ……、花火だけが次々とあがり

夜空に浮かぶ花火と、

彼女の横顔が

キレイだったのを……今でも覚えている。







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