八月の指定席【花火・短編】
同じ会社で、同時期に辞めた男がいて、

他のヤツから聞いたところ、

彼女が好きになったのは、どうやらそいつだったらしい。




転職する前に、彼女に想いを伝え、

……実は彼女の方も、そいつを気に入ってたらしく

一緒に辞めてしまったんだ。




相手は、オレとは全く正反対だった。

いつも強気で、人を引っ張って行くような、そんなヤツ。

そして無名の会社に勤務するオレとは違い、転職先は一流企業。




いつも控え目で、気の弱いオレだけど、そんな所が好きだと言ってくれていた彼女。

結局、口だけだったんだなと……

人間否定されたような、そんな気持ちになった。






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