Running Homerun
「箏音、今日も死んでんなぁ」
みゅーの後ろに現れた顔と
聞きなれた少し低い声。
私はパッと身体を起こした。
「ひ、大樹っ!!」
大樹は
「うるせぇなぁ」
と言いながら笑った。
大樹の笑顔を見て、私の胸はきゅっと締め付けられる。
この胸がはっきり示している。
私は大樹が大好きってことを。
「お前は俺の顔を見るたびに
名前を叫ばなくちゃいけないのか?」
「そ、そんなんじゃないよ!
いつも大樹が急に現れるから
毎回驚くのっ!」
「俺は幽霊かっつーの」
そういって笑う大樹はきっと
私の気持ちに気が付いていない。
大樹は誰もが認めるほど鈍感なヤツだから。
野球のことしか頭にないバカなヤツだから。