Running Homerun
「実は……一桁は取れなかった……」
申し訳なさそうにつぶやく。
一桁って…レギュラーってこと?
一桁が取れなかったってことは…
レギュラーがとれなかったってこと?
「マジか。
まぁ、わかってたけどね」
相変わらずみゅーは厳しい。
「マジすまんっ!」
両手を合わせて誤る姿がなんだかおかしくて…
「なんで誤るの?
別に謝らなくていいよ」
ちょっと笑いながら言った。
「だってさぁ…
もしかしたら箏音にいいとこ見せれずに夏が終わるかもしれないだろ」
大樹はかなり落ち込んでいる様子。
実は私、一回戦しか見れないんだけどね……
でも今はそんなこと関係ないか。
ここは彼女の私が励ましてあげないとねっ!
「大丈夫だよ。
私、大樹が野球、頑張ってる姿が好きだから。
それさえ見れれば満足だよ」
「箏音……」
大樹は嬉しそうに目をウルウルさせている。
そんな大樹を見て私も嬉しくなる反面
ちょっと恥ずかしくなった。
「はぁ…」
ため息が聞こえたほうを向けば
みゅーが呆れたように首を横に振っていた。
「朝っぱらからご馳走様」
みゅーはそういって手で仰ぐ。
その言葉に私と大樹は
ほぼ同時に顔が真っ赤になった。