Running Homerun


「てか、大樹。
夏の大会ってベンチ入りした?」

思い出したようにみゅーが言う。

「まだ背番号は配られてねぇんだ。
でも、きっとベンチには入ってると思うぜ」

自信満々というように胸を張る。

「レギュラーは?」

「無理っ!」

即答して豪快に笑う大樹に
私とみゅーは同時にため息をついた。

「まぁ、大樹は足だけだもんね」

みゅーがボソッと呟く。

「…おい、それ、結構傷ついたぜ?」

傷ついたように顔をしかめる大樹に
追い討ちをかけるように
みゅーは言う。

「だって本当じゃん。
バッティングは
簡単なストレートを空振りするし
いい当たりでもショートゴロ。
守備でも
すぐトンネルするし
フライをまともに取れないし。
ベンチ入りだけでも奇跡に近いわよ」

みゅーは結構ずばずば言うタイプだ。
そして元野球部のマネさんだ。

「言っとくけどなぁ
お前がいた頃よりずっとうまくなってるぜ?
トンネルしなくなったし
バッティングも外野まで飛ぶようになったし」

「それが普通」

ズバッと言いわれ
大樹は肩を落とした。





< 5 / 64 >

この作品をシェア

pagetop