Running Homerun
私は無意識のうちにじーっと見ていたらしい。
ふと視線を感じたように男の人は私の方を見た。
目と目が合った瞬間、私の体に電気が走った。
切れ長な目
すっと通った鼻
薄い唇
整った顔立ちだった。
「君もここで雨宿りしてるの?」
急に低い声で話し掛けられて驚いた私はなにも声が出ずただ何度も頷いた。
そんな私を見てか、男の人は優しく笑った。
「あ、君、髪が濡れてるじゃん。しっかり拭かなきゃ、風邪ひくよ」
そういうと男の人はいきなり持っていたタオルでがしゃがしゃと乱暴に私の髪を拭きはじめた。