Running Homerun


「箏音、帰らないの?」

「あ、帰る帰るっ!」

みゅーに急かされて帰り支度を整えると
教室を出た。


少し日が傾きかけている。

たくさんの生徒に混じりながら
私とみゅーは駅に向かって歩いた。

みゅーは電車通学。
私は駅から徒歩10分くらいのところ。

だから毎日駅から一緒に学校へ行って
帰りは駅で別れる。

私は駅までの道のりの中で
みゅーに手紙のことを話した。

さすがにドキドキしてたことまでは言えなかった。

みゅーは
「ふ~ん」
とあまり興味がない様子。

基本みゅーとはあまり恋バナをしない。

たまに私の恋愛相談に乗ってもらうだけだ。



「大樹、大胆なことするねぇ」

ポツリとつぶやいたみゅーの声を
危うく聞き逃すところだった。

私は首をかしげながら
「どーいうこと?」
とみゅーに聞いた。

「ううん、なんでもない」

みゅーは首を横に振って
「忘れて」
と言った。

その声は少し楽しげだった。

なにを楽しんでいるのだろう?

私の頭の上のハテナは
もう一個増えた。
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