保存用
◆おにゅー(陰陽師 二次)
ある晴れた昼下がりのことでした。
博雅が晴明邸を訪ねると、晴明はいつものように式神を相手に囲碁をしていました。
…ん?
いつもと変わらない光景。
しかし博雅は、晴明に違和感を感じました。
けれどその原因が何なのか、博雅には分かりません。
「どうした博雅。なにか見えたか?」
博雅が晴明をじっと見ながら考えていると、その視線に気付いた晴明が声をかけてきました。
「いや、なんでもない」
「…そうか」
そう言った晴明は、少しだけ残念そうな顔をします。
しかしほんの少しの変化なので、博雅は気付きません。
「さて、式神では飽きてきた。博雅。お前、相手をしろ」
「ああ」
晴明が式神を消すと、さっきまで式神がいた場所に博雅が座り、また囲碁が始まります。
けれど博雅は、先程の違和感が気になって囲碁に集中できず、晴明のことを見てしまいます。
晴明はその視線に気付きながら、何も言いません。
むしろ何か言って欲しそうに、博雅をちらちらと見ています。
またしばらく考えた博雅は、ハッと気が付き言いました。
「晴明、今日は髪をおろしているんだな」
それを聞いた晴明は、明らかにすねたような顔をして言いました。
「まだ病み上がりなのでな。出仕がないのだ」
それを見た博雅は、まずいことを言ったのだと思い、謝りました。
「そ、そうだったな。すまない」