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◆雨乞いの、そのあとに(陰陽師 二次)
しとしと、と雨が降っている。
雨のせいで庭の草木や門が霞んで、ぼんやりとしか見えない。
廊下も心なしか濡れているように見える。
そんな中、つまみを前に酒を飲み交わす者が2人。
晴明と博雅だ。
しかし先ほどから2人とも、何も喋らない。
ただぼんやりと庭を見ている。
静かな空気の中、博雅がおもむろに口を開いた。
「これは、晴明が降らせたのか」
「そうとも言うが、違うとも言えるな」
「そうか」
そして再び沈黙が訪れ、2人は庭に目をやった。
しばらくすると、また博雅が口を開いた。
「晴明」
「なんだ」
「…いや、呼んでみただけだ」
「…そうか」
「ああ」
晴明は酒をくいっと飲んで、注いだ。
博雅はつまみを口に入れた。
そしてまた庭に目をやった。
と、今度は晴明が口を開いた。
「おれがいない間、なにかあったか」
「いや、特には」
「そうか」
「…なあ、晴明」
「なんだ」
「…居たんだな」