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◆陰陽師(二次 Ⅱのラストの暗転部分)
「あとは、その男次第だ」
その台詞を最後に踵を返し、その場から立ち去る幻角。
博雅はそれを見送り、寝かされたままの晴明に目を移した。
「晴明…」
緩く閉じられた口や目は、先ほどと何も変わっていない。
しかし少しだけ、ほんの少しだけ雰囲気が変わった気がした。
いつまでもこうしている訳にはいかないな…
博雅は晴明を抱き上げると、そのままその場を後にした。
・―・―・―・―・
「……」
晴明邸に着いてすぐに晴明を布団に寝かせ、起きるのを待つ。
幻角は、後は晴明次第だと言っていたけれど、晴明ならきっと帰ってくる。
晴明は凄い陰陽師だ。
今に起き上がって、博雅と…そう名を呼ぶに決まってる。
そう信じているけれど、それでも不安は消えない。
博雅はすっと手を動かして、指の甲で晴明の頬を優しく撫でた。
「…晴明」
そして、もう何度目とも知れぬ名を呼ぶ。
晴明が戻ってくるように、祈りを込めて。
俺には、それしか出来ないから。