保存用

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都にはない湿気と妙な寒さで、晴明は目を覚ました。

ここ、は…?

横になっていた体を起こして、周りを見渡す。
そして、まだ半分も起きていない頭で、今どんな状況に置かれているのかを考える。

寝ていた場所は、砂利だらけの土の上。
視界は霧でかなり悪く、周りに何があるか分からないほど。
遠くから時折、獣の鳴き声のようなものや水音が聞こえてくる。

ああ、なんだ…

「死んだのか」

誰に言うわけでもなく、ただぼそりと呟いた。

まあ、当たり前か。
神の領域を侵した訳だし、首飾りは博雅に渡していたからな。

そんなことを考えながら立ち上がり、水音のする方へ歩く。
もしここが、書物にあった三途の川という場所ならば、こちらに行けばどうにかなるはずだ。

しかし、なんとも殺風景な場所だな…
今から死ぬというのに、もう少し何かないものか。

晴明はそこでふと立ち止まって、おもむろに言った。

「…俺は…死んだのか」

実感など湧かない。
もともと生きてることなどに興味はない。
都も帝も、どうでもいい。
だから死んだことに後悔はない。
ただ…

「…博雅」

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