保存用
◆ココロの葉

言葉とは時に無力なものだ。
口に出しているものと思っていることが違っていたり、思っていることを上手く言い表せなかったり。
感情が高ぶると、言いたいことすら分からなくなる。
なぜ考えなければ、言葉は出てこないのか。
言いたいことを勝手に整理して、勝手に口から出てくれればいいものを。

「そうは思いませんか、先輩」

「はいはいちょっとうるさいよー、後輩ちゃん」

…怒られた。


今は放課後。
ここは図書室の一角。
我が校、文芸部の活動場所。
なぜ部室がないのかと先輩に聞くと、必要がないからだと言われた。
これは果たして必要がないと言うのだろうか。
まあでも、この場所はなかなか気に入っているので、部室がなくてもなんら支障はないのだが。

「…っと。はい、こんな感じね。もっかい書いてみて」

「…はーい」

先輩に手直しされた原稿用紙を受け取り、目を通してから別の原稿用紙に書き直す。
なぜこんなことをしているかと言うと、それは僕が文芸部だからと答えよう。
お題に沿った話を書いて、先輩に手直ししてもらう。
これが僕の、文芸部での活動内容。
何の意味があるのかと聞かれればそれまでだけど、僕は結構気に入っている。

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