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◆もしも平安時代にエイプリルフールがあったら。(陰陽師 二次)
「晴明、聞いてくれ」
「なんだ」
「つい先日の話なんだが、な…その、けっ…けっ、こん……した、のだ…」
「ほう」
「その…なんだ。名前は言えないが…なかなか良いとこの方、でな。あ…器量も見目も、良いそうだ」
「そうか」
「それで……その…」
「博雅よ」
「な、なんだ」
「おれはしばらく、都を離れることになった」
「何故だ。何かあったのか」
「遠縁の僧の所へ鬼を祓いに。昔世話になってな。無碍に断れんのだ」
「そうか…いつ、行くのだ」
「明日だ」
「明日か」
「うむ」
「…いつ、帰ってくるのだ」
「分からんな。長くてひと月だ」
「そう、か……」
「博雅よ」
「…なんだ」
「今日は何の日だ」
「……晴明よ、騙したな」
「先に仕掛けたのはお前だ」
「そうだが…意地が悪いぞ」
「何を今更」
「おれはお前が嫌いだ」
「そうか。おれもだ」
「…………」
「…そんな顔するな、嘘だ」
「…うむ」
「しかし、たまには良いものだな」
「何がだ」
「必死で嘘をついている博雅を見るのも、だ」
end.